「むし歯が神経まで進んだら?根管治療で歯を守る方法」
投稿日:2025年10月15日
カテゴリ:スタッフブログ
皆さん、こんにちは!歯科医師野口です(*^^*)
段々過ごしやすい季節がやってきましたね!私は、秋が一番好きな季節なので今の時期はとっても嬉しいです!(^^)!
今回のブログは根管治療について皆さんにお伝えしていきます!
みなさんは「根管治療(こんかんちりょう)」という言葉を聞いたことがありますか?
"“歯を抜かずに残すため”にとても重要な治療です。
今回は、この「根管治療」について、その必要性や治療の流れ、そして最新の精密治療についてご紹介します。
根管治療が必要になるのはどんなときでしょうか?
虫歯は放っておくと、歯の表面(エナメル質)から内側(象牙質)へ、さらに奥の「神経(歯髄)」へと進行していきます。
神経にまで菌が達すると、ズキズキとした痛みや、噛んだときの違和感、歯ぐきの腫れといった症状が現れます。
さらに進行すると、根の先に膿(うみ)がたまり、骨の中で炎症を生じてしまうことがあります。
こうなると、単なる“虫歯の治療”では対応できません。
感染してしまった神経を取り除き、歯の内部を清潔に保ち、再び感染しないように密封する。この一連の処置が「根管治療」です。
つまり、根管治療は歯を抜かずに救うための最後の砦といえます。
根管治療の流れ
根管治療は、歯の内部を扱う非常に繊細な治療です。
1回で終わることもありますが、感染の状態によっては数回に分けて行われることもあります。
① 感染した神経を取り除き、根管の形態を整える
菌に侵された神経や血管を取り除き、その後、リーマー・ファイルなどの専用の器具にて形態を整えます。根管は人によって形が異なり、湾曲していることも多いため、細心の注意が必要です。
② 根管内の清掃・消毒
特殊な器具を使って根管の中の形態を整え、薬液で徹底的に洗浄します。
感染源を完全に除去することで、再発のリスクを下げます。
③ 根管の充填(詰め物)
内部が清潔になったら、空洞となった根管に薬剤やセメントを流し込み、隙間なく封鎖します。
この「密閉」が不十分だと、再び細菌が侵入して炎症が起こるため、非常に重要な工程です。
④ 被せ物で補強
神経を取った歯は、もろく割れやすくなります。
そのため、最終的にはクラウン(被せ物)で補強して、しっかり噛めるようにします。
根管治療は、目に見えないほどの小さな空間を扱う繊細な治療です。
そのため、設備と技術の精度が治療結果を大きく左右します。
当院では、以下のような先進的な機器と方法を用い、再治療のリスクを最小限に抑えています。
■ マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
根管の内部は非常に細く複雑に分かれています。
マイクロスコープを使うことで、肉眼では見えない部分まで拡大して確認でき、感染源の取り残しを防ぐことができます。
これにより、治療の精度と成功率が格段に上がります。
■ ラバーダム防湿
治療中に唾液が入り込むと、再び細菌感染を起こす恐れがあります。
ラバーダムという薄いゴムのシートで治療する歯だけを露出させ、唾液や細菌の侵入を防ぐことで、無菌的な環境を保ちながら精密な治療が可能になります。
■ ニッケルチタンファイル
従来のステンレス製器具では難しかった複雑な根管の形にも柔軟に対応できる、最新の金属製器具です。
曲がりくねった根管の清掃をスムーズに行えるため、歯への負担を軽減しながら安全に処置ができます。
■ レーザー治療(エルビウムヤグレーザー)
根管内部の殺菌力を高めるため、レーザーを併用することもあります。
根管の洗浄中に洗浄液とレーザーを併用し、微細な泡を発生させることによって洗浄力を高めます。また、レーザー光には殺菌作用があるため、根管内部の無菌化に効果的です。
これらの最新設備と丁寧な処置を組み合わせることで、より確実に歯を残すことを目指しています。
神経をできるだけ残す「MTAセメント治療」
神経を抜かざるを得ないような大きい虫歯でも、最近では「MTAセメント」という材料を使って神経を保護し、残す治療ができる場合があります。
MTAセメントは高い殺菌力と生体親和性を持ち、歯髄の再生を促す性質があります。
神経を残すことで歯の寿命は大きく延びるため、可能なケースでは積極的にこの方法を検討します。
ただし、炎症が強い場合などは適応できないこともあるため、歯科医師による正確な診断が大切です。
治療後の注意点とメンテナンス
治療した歯を長く使うために…
・必ず被せ物で補強する→詰め物だけでは割れるリスクが高くなります。
・定期的にメンテナンスを受ける→治療後も歯ぐきの健康やかみ合わせをチェックすることが大切で す。
・歯ぎしり・食いしばりのケア→強い力が加わると歯が割れることがあるため、必要に応じてマウスピースを使用します。
これらを守ることで、治療した歯を10年、20年と長持ちさせることができます。
まとめ
根管治療は、「歯を抜かずに残すための最後の手段」です。
治療には時間や回数がかかることもありますが、精密な処置を行えば、痛みを取り除き、歯を長期的に機能させることができます。
「神経を取らなければならない」と言われると不安に感じる方も多いと思いますが、マイクロスコープやラバーダムなどの設備を備えた歯科医院であれば、安心して治療を受けていただけます。
一本の歯を守ることは、全身の健康を守ることにもつながります。
もし歯の痛みや違和感がある場合は、早めに歯科医師へ相談し、最適な方法で大切な歯を守りましょう
虫歯・根管治療・歯内療法|マイクロスコープ精密治療|船橋駅3分の川手歯科
執筆:歯科医師 野口萌
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