歯周病・口臭・睡眠の質…口呼吸がもたらす影響と今すぐできるケア!
投稿日:2025年5月2日
カテゴリ:スタッフブログ
みなさん、こんにちは!歯科医師の野口です。
花粉症の季節ですね…私は花粉症が酷く毎日アレルギーのお薬を服用しています…
今回のブログのテーマは花粉症で悩んでいる私にも当てはまる、口呼吸についてです!
私たちは本来、鼻で呼吸をするようにできています。しかし、現代では無意識のうちに「口呼吸」が習慣化してしまっている方が増えています。たかが口呼吸と思われがちですが、実はお口の中だけでなく、全身の健康にもさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるのです。
口で呼吸をしていると、唾液による自浄作用が妨げられ口の中が乾燥しやすくなります。その結果、むし歯や歯周病、口臭が起こりやすくなります。また、舌の位置が下がりやすく、歯並びや噛み合わせにも悪影響を及ぼします。特に子どもの場合、顎の発育にまで影響することがあり、「出っ歯」や「受け口」といった不正咬合の原因となることもあります。さらに、口呼吸は睡眠の質の低下、いびき、日中の集中力低下、風邪やアレルギーの悪化など、全身への影響も少なくありません。呼吸は生命活動の基本ですから、日々の呼吸の質を見直すことは健康への第一歩なのです。
口呼吸にはさまざまな原因があります。例えば、アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまり、扁桃腺やアデノイドの肥大など、鼻での呼吸が困難な場合には自然と口呼吸になります。また、舌や口周りの筋力低下、姿勢の悪さ(特に猫背)も、口呼吸を引き起こす要因です。
すべての年齢層で口呼吸は注意すべきですが、特に気をつけたいのは小児期です。成長途中の骨格や歯列に口呼吸が与える影響は大きく、早期に発見・対処することで健全な発育をサポートできます。もちろん大人にとっても、口臭や歯周病リスク、睡眠障害の原因になるため、無視できません。
口呼吸を防ぐには、鼻呼吸を意識することに加えて、「口唇閉鎖力(口をしっかり閉じる筋力)」を高めることが大切です。以下は、自宅で簡単にできるトレーニングの一例です。
1. リップトレーニング
唇をしっかり閉じて、数秒間キープし、ゆっくり緩める。これを1日10回程度行います。
2. 風船膨らまし
風船を膨らませる動作は、口周りの筋肉をバランスよく鍛えることができます。無理のない範囲で毎日挑戦してみましょう。
3. あいうべ体操
「あー」「いー」「うー」「べー」と大きく口を動かす体操です。舌や頬、唇の筋肉が鍛えられ、鼻呼吸を促す効果が期待できます。1日30回が目安。
4. 割りばしトレーニング
割りばしを唇だけでくわえ、手を使わずに30秒間キープ。表情筋や口唇閉鎖力の向上に役立ちます。
5. 就寝時の口テープ
寝ている間の無意識の口呼吸には、専用の「口閉じテープ」が効果的。ただし、鼻づまりがある場合は医師の指導を仰いでください。
歯科医院でできる治療とサポートとしては、
・MFT(口腔筋機能療法)
舌や唇、頬の筋肉を鍛え、正しい呼吸や嚥下(飲み込み)を身につけるトレーニングです。子どもから大人まで効果があり、長期的な改善につながります。
・歯列矯正
歯並びや顎の位置を整えることで、鼻腔のスペースが広がり、自然な鼻呼吸がしやすくなることがあります。
・医科との連携
必要に応じて耳鼻科などと連携し、アレルギーや鼻づまりの根本治療を進めることも可能です
口呼吸は、気づかないうちに全身に大きな影響を及ぼしていることがあります。特に子どもの場合は、将来の顔貌や歯並びに関わるため、早めのチェックと対策が重要です。自宅でできるトレーニングとあわせて、歯科医院での正しい評価と指導を受けることで、無理なく健康な呼吸習慣を身につけていきましょう。
気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。当院ではお一人おひとりの状態に合わせたサポートをご提案いたします。
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