根面う蝕はなぜ厄介?象牙質の弱点とフッ素の力を知ってますか?
投稿日:2025年11月26日
カテゴリ:スタッフブログ
みなさんこんにちは♪
川手歯科医院の牛坂です!
あっという間に秋も過ぎ、寒い冬の季節になりましたね^_^
寒さは苦手ですが、クリスマスやお正月など季節を感じることができるので私の大好きな季節です♪
さて、本日は根面う蝕(根面の虫歯)についてお話しします!
根面う蝕とは、歯ぐきが下がって露出した歯の根にできる虫歯のことです。
家の土台を食い荒らすシロアリのように、根面の虫歯は気づかぬうちに進行しがちで、せっかく今まで残せていた歯を失うことになりかねません。
また、歯の噛む面にできる虫歯に比べてとても厄介です。
最近の疫学調査では、70代の65%、80代の70%がなっていると言われるほど増加しています。
〈根面の虫歯が厄介な6つの理由〉
1、 早期発見が非常に難しい
根面のむし歯は、初期の発見が非常に困難です。
根面の象牙質はもともと黄みがかっていて、できはじめのむし歯は色がうっすら変化する程度なので専門家の目でも判別に苦労します。
2、自覚症状がほとんどない
根面のむし歯には、「しみる」「痛い」といった自覚症状はほとんどありません。くちびるで隠れる位置にできるため、鏡でも見にくく虫歯になっていることに気づかないまま進行しているケースも多いです。
根面のむし歯は数年かけて徐々に進むこともあれば、短期間で急速に進むこともあります。どちらの場合も痛みは出にくいです。
3、セルフケアが難しい
根面は歯ブラシが届きにくい場所で磨き残しが多くなりがちです。当てているつもりでも当たっていない、ということもよくあります。
4、象牙質は酸に弱い
虫歯はお口の中の細菌の出す酸が歯を溶かすことで起こります。
歯に付着したプラークの中に細菌の出す酸が充満し、それと接した面から歯が溶けていきます。だから歯ブラシが重要と言われているのです。
歯は主に、エナメル質と象牙質、歯髄からできています。歯の噛むところ(歯冠)はエナメル質と象牙質の二層構造で歯の根は象牙質が主です。エナメル質の組成は無機質が95%、有機質と水分が5%、象牙質の組成は無機質が69%で、残り31%は有機質(コラーゲン)と水です。
有機質の多い象牙質の方がやわらかいですが、それだけでなく、酸への抵抗力も象牙質の方が弱いです。
5、治療が難しい
厄介なことに、根面のむし歯には「こうすればいい」という治療法がまだ確立されていません。
歯の噛むところのむし歯の場合、進行しているなら、病変部を除去して進行を止めてから、詰め物や被せ物を入れるというのがスタンダードな治療ですが、根面の虫歯は進行している場合、うかつに器具を当てると歯が折れる危険があったり、物理的に器具が届かず虫歯部分を除去することも、詰め物をすることも困難なことがあります。
6、治療後も長持ちしにくい
根面のむし歯が広がっているとき、歯の根の治療をして被せ物を入れることがあります。
こうした場合、①歯周病により骨が減っている、②そのため歯ぐきより上に出ている部分が増えてバランスが悪くなっている③根の歯質が減っている④歯の神経が取り除かれているなどの理由で、どうしても予後が悪くなります。
このように、根面の虫歯は治療も難しく厄介なため、虫歯にならないように予防する必要があります。
〈定期検診とフッカ物で進行抑制と予防を!〉
根面のむし歯の進行抑制と予防には、歯科の定期受診が久かせません。
初期の発見は難しいとはいえ、定期的に受診していただければ、それだけむし歯を早期に発見できる可能性が高まります。
根面のむし歯になりはじめの状態なら、定期的に経過観察を受けていただきながら、むし歯の原因の究明と、食生活や歯みがきの改善、フッ素塗布などを通じて進行抑制に努めます。
根面が露出する原因に歯ぐきが下がることですがそのいちばんの理由は歯周病です。
歯周病の予防のためにも定期受診をかさないようにしましょう。
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またご自宅でのフッ素の利用も進行抑制と予防に大切です。
1450ppmの歯みがき剤に加え、フッ素洗口液を併用するのがおすすめです。フッ素はエナメル質だけでなく象牙質にも作用し、再石灰化の促進や脱灰の抑制、細菌の酸産生の抑制に効果があります。
フッ素洗口液は、液体をお口に含んで30秒ほどブクブクうがいをするだけなので、その人の歯みがきスキルを問いません。
液体のため、歯ブラシが届きにくい歯と歯のあいだに届きやすいのも利点です。
歯みがきをしてから、就寝前に使用するのが効果的です!
〈フッ素の効果を高める使い方〉
1、歯みがき剤をむし歯になりやすいところに届ける
むし歯になりやすい場所は、「奥歯」「歯と歯のあいだ」「歯と歯ぐきの境目」。
つまり、みがきにくいところ、毛先が届きにくいところにこそ、フッ素配合盛みがき剤を届けるのです。
2、歯みがき剤は、適正な使用量を用いる
歯みがき剤は、歯みがき中に唾液によって少しずつ薄まっていきます。そのため使用量が少ないと、すぐにフッ素の濃度が低下して、効果が発揮できなくなってしまいす。
フッ素の有効濃度を保つために、適正量を使用しましょう。
・歯が生えてから2歳
使用量→ 米粒程度(1~2mm程度)
フッ素濃度→ 1000 ppm
(製品では900~1000ppm)
・3〜5歳
使用量→グリーンピース程度(5mm程度)
フッ素濃度→1000ppm
(製品では900~1000ppm)
・6歳〜成人・高齢者
使用量→歯ブラシ全体(1.5cm〜2cm程度)
フッ素濃度→1500mmm
(製品では1400~16000cm)
3、推奨濃度のフッ素配合歯磨き剤を使用する
フッ素配合歯みがき剤のむし歯予防効果は、フッ素の濃度によって違います。フッ素濃度が高い方がむし歯予防効果が高く、1000ppmを超えると、濃度が500ppm増すごとに予防効果が6%増加します。
むし歯予防効果を高めるためには、この3つが重要です!
執筆:歯科衛生士 牛坂

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