痛みが出てからの抜歯は良いことがない?親知らずってどうしたらいいの?〜抜歯のタイミングと注意点〜
投稿日:2025年9月17日
カテゴリ:スタッフブログ
みなさんこんにちは!歯科衛生士の笠原です!ようやく涼しくなってきましたね(^^)秋はぶどうや梨、さつまいもなど食べ物の美味しい季節ですね!私は食欲の秋と読書の秋です!読みたい本が溜まっているので読もうと思います!みなさんは秋になるとしたいことはありますか?
今回は、「歯が痛いから早く抜いてほしい」と思う方は多いのですが、実は痛みが強いときに抜歯をするのは、あまりおすすめできません。今回は「なぜ痛みが出てからの抜歯はよくないのか?」というテーマで、抜歯の適切なタイミングや注意点、治り方の流れについてお伝えします!
⑴痛みがある時に抜歯をすすめない理由
歯ぐきや歯の周囲に強い痛みがあるときは、多くの場合「細菌感染」が進んでいる状態です。このときに無理に抜歯をすると、いくつかのリスクがあります。
• 麻酔が効きにくい
炎症が強い部分では麻酔が効きづらく、治療中も痛みを感じやすくなります。
• 痛い部分が残る
実際に抜くのは「歯」ですが、痛みの原因が「歯ぐきや周囲の組織」にある場合、抜歯しても痛みがすぐ取れるわけではありません。
• 術後に腫れやすい
炎症が強い組織を触るため、抜歯後に腫れや感染が起こりやすく、ひどいと熱が出ることもあります。
つまり「痛みが出てから抜く」と、余計に痛みや腫れに悩まされる可能性が高いのです。そのため、痛くなる前に計画的に抜歯することが、一番体への負担が少ない方法といえます。
⑵抜歯を避けたほうがよい時期
すべてのタイミングで抜歯ができるわけではありません。特に注意が必要な場合をお伝えします!
• 妊娠初期・後期
母体や胎児への影響を考え、妊娠初期(流産のリスクが高い時期)と妊娠後期(出産が近い時期)はなるべく抜歯を避けます。妊娠を考えている方は、その前に必要な抜歯を済ませておくのがおすすめです。
• 忙しい時期
受験や仕事の繁忙期に突然痛みが出ると大変です。余裕があるときに処置をしておくことで、生活への影響を最小限にできます。
⑶抜歯後の痛みや腫れはどのくらい続く?
抜歯後の経過は「抜いた歯の状態や難易度」によって大きく変わります。
• 浅く生えている歯は比較的腫れにくく、治りも早い傾向があります。
• 深く埋まっている親知らずなどは、切開や骨の削除が必要になるため、腫れや痛みが強く出ることがあります。
一般的な経過としては、
• 痛みは麻酔が切れてから3〜5時間以内にピークとなり、2〜3日続きます。
腫れは12〜48時間でピークとなり、5〜7日ほどで落ち着きます。
ただし、抜歯後に一度引いた腫れが再び強くなった場合は感染の可能性があるため、すぐに受診してください。
⑷抜歯後の治り方の流れ
抜歯した穴は、体の自然な治癒力によって少しずつ埋まっていきます。
1. 直後:血液が溜まり「血餅(けっぺい)」と呼ばれるかさぶたのようなものができます。
2. 2日目〜1週間:血餅が固まり、線維や毛細血管が増えていきます。
3. 2〜3週間:表面の歯ぐき(上皮)が塞がり、内部で新しい骨が作られ始めます。
4. 1〜3ヵ月:へこんだ部分が徐々に平らになり、周囲と同じような状態になります。
治りを早めるためには、抜歯後の穴を触らないこと、無理にうがいをしすぎないことが大切です。
ドライソケットに注意
まれに血餅が取れてしまうと、骨がむき出しになり「ドライソケット」と呼ばれる強い痛みが出ることがあります。痛み止めが効きにくいのが特徴です。もし我慢できないほどの痛みが続く場合は、早めにご相談ください。
⑸食事と水分補給の大切さ
抜歯当日は「食べてはいけないもの」は特にありません。ただし、傷口に負担をかけない食事を選ぶと安心です。また、抜歯した歯と反対側で噛むようにするといいです!
• おすすめ:スープ、ゼリー、プリン、おかゆなどやわらかいもの
• 注意点:硬いものや熱すぎるものは避けましょう
また、食事を抜くのはNGです。栄養が不足すると治りが悪くなり、かえって体調を崩す原因になります。ジュースやスープでもいいので、水分と栄養はしっかり摂りましょう。
⑹まとめ
• 痛みが出てからの抜歯は麻酔が効きにくく、治りも悪いためおすすめできません。
• 抜歯は「痛くなる前」「妊娠前」「忙しくなる前」に計画的に行うことが大切です。
• 抜歯後は1週間程度で落ち着くことが多いですが、強い痛みや再び腫れが出たときは受診してください。
• 栄養と水分補給をしっかり行うことで、治りもスムーズになります。
川手歯科医院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて抜歯の時期を提案しています。「抜いたほうがいいのか」「まだ様子を見てよいのか」と迷ったときは、お気軽にご相談ください。また、歯科医院に来て初めて親知らずが骨に埋まっていることを知る方も多くいらっしゃいます!ご自身のお口の情報を持っていることで計画立てて動くことにもつながります!
執筆:歯科衛生士 笠原果琳
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