喫煙が歯周病を進行させる? 知っておきたい喫煙によるお口への影響
投稿日:2025年7月7日
カテゴリ:スタッフブログ
みなさんこんにちは、そして初めまして!
4月に入社しました、歯科衛生士の外池です!
突然ですが、みなさんは喫煙が肺だけでなく、お口の中の歯や歯茎にもダメージを与えていることを知っていますか?そのダメージは、喫煙者本人だけでなく、周りにいる人のお口の中にも与えてしまうのです。
今回は喫煙と歯周病の深い関わりについてお話ししようと思います!
歯周病のリスクファクター(危険因子)として一般的によく知られているものの中に、加齢・食習慣・歯並び・ストレス・歯磨き習慣などがありますが、これらの中でも喫煙は最大のリスクファクターと言われています。
また、ある研究データによると喫煙者は非喫煙者の人と比べて2~8倍歯周病にかかりやすく、歯周病の治療効果が低いこと、治療後の傷の治りが遅くなることが報告されています。
【なぜ喫煙が歯周病を進行させるの?】
タバコの煙に含まれる化学物質は約5,300種類、そのうち約200種類が有害物質とされており、有害物質の中には約70種類の発がん物質が含まれています。
有害物質に含まれる代表的なものとして、
・ニコチン
・タール
・一酸化炭素
の3つがあります。
①ニコチン
・非常に強い依存性物質です。
・口腔粘膜や歯肉から吸収されると、ニコチンの血管収縮作用により血行障害が起きます。血行が悪くなることで、歯周組織に酸素や栄養がうまく運ばれず、歯周病原菌に対する免疫担当細胞の機能が低下してしまいます。
→歯周炎の悪化・歯周病の治療効果が得にくい・手術後の傷の治りが遅くなってしまいます。
②タール
・発がん性物質が多く含まれています。
・歯の表面に付着し、茶褐色や黒色の着色が起こります。(いわゆる「ヤニ」と呼ばれるものです。)
→タールは粘性が高く、表面もざらざらしているため、歯石の形成を促進させます。
・歯面への着色による審美性障害が起こります。
・タバコの臭いだけでなく、唾液の分泌量の低下により口臭の原因となります。
③一酸化炭素
・喫煙すると体内では多くのビタミンCを消費します。ビタミンCは、歯茎の6割を構成しているコラーゲンの生成に関わっていて、ビタミンCが不足することによって、歯茎の老化が早まります。
・血液中のヘモグロビンと強く結合するため、ニコチンと同様に歯周組織への酸素供給がうまく行われなくなってしまいます。
→歯周組織破壊の進行に繋がります。
【周りにいる人にも歯周病のリスクがある!?】
喫煙していない人が、喫煙者の吸ったタバコの煙を吸わされてしまうことを「受動喫煙」といいます。
実は、受動喫煙によっても歯周病のリスクが高まってしまうのです!
歯周病の他にも、歯茎のメラニン色素沈着・乳歯う蝕、妊婦さんが喫煙するとお腹の中にいる赤ちゃんに、口唇裂・口蓋裂の症状が起こることが明らかになっています。
【禁煙・ホームケア・定期検診がとても大切です!】
喫煙によって血管が収縮されることで、歯茎の腫れや出血などの症状が出にくくなることや、歯肉色素沈着もあり、歯肉の炎症症状がわかりにくいことが多いです。
そのため、気づいた時には歯周病が既に進行してしまっていることも。
禁煙をすることで、
・歯茎の血流改善・免疫機能の回復→歯周病の予防や治療効果が高まります。
・口臭が改善されます。
・周りにいる人を受動喫煙から守ることができます。
・味覚が戻り、おいしく食事ができます。
・呼吸器系の負担が減り、咳・痰が出なくなります。
また、禁煙はお口の健康だけでなく、全身の健康を守ることにも繋がります!!
当院では、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせたホームケアのアドバイスと、定期的なクリーニング、検診を行っています。
ぜひ一緒にお口の健康を守っていきましょう!
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