インフルエンザ予防はお口から! 歯周病が感染リスクと治療効果に与える影響とは?
投稿日:2026年3月25日
カテゴリ:スタッフブログ
■歯周病がウイルス感染を助けてしまう?
歯周病は、歯ぐきの炎症や出血、進行すると歯を支える骨が溶けてしまう病気です。自覚症状が少なく、多くの方が気づかないうちに進行しているのが特徴です。
インフルエンザと関係する理由のひとつが、歯周病菌が出す酵素です。歯周病菌の一種である「ポルフィロモナス・ジンジバリス」は、「ジンジパイン」という酵素を産生します。
この酵素は、インフルエンザウイルスが細胞に侵入するために必要な変化(活性化)を助けてしまう可能性があると報告されています。 つまり、歯周病があると、ウイルスが体に入りやすい状態をつくってしまうのです。
■口の中の細菌が感染リスクを高める
歯周病の状態では、お口の中の細菌数が増え、バランスも崩れています。この状態では、唾液や呼吸とともに細菌やウイルスが気道へ入り込みやすくなります。
実際に、高齢者を対象とした研究では、専門的な口腔ケアを行ったグループの方が、インフルエンザの発症率が低かったという報告があります。これは、お口の清潔さがそのまま感染予防につながることを示しています。
■歯周病が「薬の効き方」に影響する可能性
あまり知られていませんが、歯周病はインフルエンザの治療にも影響する可能性があります。
インフルエンザの治療では、抗インフルエンザ薬(タミフルなど)が使われます。これらの薬は、ウイルスが体の中で増えるのを抑える働きをします。
しかし、歯周病菌が多い状態では、先ほど説明したように、ウイルスが活性化されやすくなります。その結果、
・ウイルスの増殖が促進されやすくなる
・薬の効果が十分に発揮されにくくなる可能性
が考えられています。
つまり、歯周病があることで、「薬が効かない」というよりも、「効きにくい環境になる」可能性があるということです。
■炎症が免疫力にも影響する
歯周病では、歯ぐきに慢性的な炎症が起きています。この炎症によって、体の中ではさまざまな物質(サイトカイン)が放出されます。
炎症が長く続くと、
・免疫のバランスが乱れる
・ウイルスへの防御力が低下する
といった影響が出る可能性があります。
そのため歯周病は、「お口の病気」にとどまらず、全身の健康や感染症リスクに関わる病気として考えられています。
■今日からできる予防習慣
インフルエンザ予防のために行う歯科的な対策は、特別なものではありません。
日々のケアがとても重要です。
・丁寧な歯磨き習慣
・フロスや歯間ブラシ等の補助的清掃器具の使用
・洗口液の活用
・歯科医院での定期的なクリーニング
こうした積み重ねが、細菌を減らし、炎症を抑え、結果的に感染予防につながります。
■まとめ
インフルエンザ対策というと、「マスク」や「手洗い」が中心になりがちですが、これからはそこに「お口のケア」も欠かせない要素です。
歯周病があると、
・ウイルスが侵入しやすくなる
・感染リスクが高まる
・薬の効果にも影響する可能性がある
といった点が考えられています。
逆に、お口の中を清潔に保つことで、感染しにくく、回復しやすい体づくりにつながります。
日々のセルフケアに加え、歯科医院での定期的なメンテナンスを取り入れながら、
「お口から全身の健康を守る」意識を大切にしていきましょう。

歯周病治療(日本歯周病学会認定医)
執筆:歯科医師 野口
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